SEOコンサルの日常

SEOコンサルが、現場では言えない悩みをつらつらかいていきます

インハウスSEO担当者の一番の敵は「孤独」

インハウスSEO担当者の方とお話しする機会も多いのですが、みなさんこぞって言うのは「孤独」ということです。

そのせいか、インハウスSEOのイベントって結構多いイメージです。
SEOコンサルも結構孤独なので、ぜひインハウスSEOの方と交流したいのですが…

孤独の何が辛いって、情報収集や施策の妥当性を社内で確認することだと思います。

例えば営業や経理といった職種は、先輩社員がいたり、OJTで学ぶ機会も多くあることでしょう。

しかし、SEO担当という職種は、大企業かつデジタルマーケに理解がある会社でないと、1人しか担当者につかないことが普通だと思います。

今回はそんなインハウスSEO担当者の方に、SEOコンサルが行っている情報収集や施策の考え方を書いていこうと思います。
※あくまで自分のやり方なので、良いと思ったとこだけ参考にしてください。

1.どういうところから情報を得ているか
2.どうやって施策のレベルを上げているか
3.どういうツールを使っているか

1.どういうところから情報を得ているか

インハウスSEO担当者のリテラシーによって必要となる情報は変わってくるかと思います。

【初心者】「SEOってなに…エロい単語…?」という方へ

このレベルの人は、恐らくなんと検索して調べれば良いかもわかってない人が多いかと思います。

なので、Webで情報収集よりも、ある程度体系的にまとまっている書籍の方が個人的にはおすすめです。

SEO初心者にオススメの3冊】

いちばんやさしい新しいSEOの教本 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4844335359/ref=mp_s_a_1_6?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&qid=1522629531&sr=8-6&pi=AC_SX236_SY340_FMwebp_QL65&keywords=seo&dpPl=1&dpID=51LBUzlnyXL&ref=plSrchwww.amazon.co.jp
少し技術的なこと含め、SEOを基礎から知りたい場合はこちら。

リニューアルや、サイト設計のSEOを得意とするアユダンテ様が執筆しています。
信頼性、読みやすさともに初心者の方におすすめできます。

本のサイズがでかいので電車とかだと読み辛いところが少し惜しいです。

10年つかえるSEOの基本

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/477417324X/ref=mp_s_a_1_7?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&qid=1522629531&sr=8-7&pi=AC_SX236_SY340_FMwebp_QL65&keywords=seo&dpPl=1&dpID=51IL8Q9jrjL&ref=plSrchwww.amazon.co.jp
上記の本では技術的な話が多いと感じた方は、こちらを読みましょう。
イラストが入っていて、テキストも多くないので、「SEOってなに?」ということを知るためには良いです。
(中級者とかには物足りなく感じるかもしれませんが)

沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—〈SEOのためのライティング教本〉

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4844366238/ref=mp_s_a_1_4?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&qid=1522629531&sr=8-4&pi=AC_SX236_SY340_FMwebp_QL65&keywords=seo&dpPl=1&dpID=61B66j2QyiL&ref=plSrchwww.amazon.co.jp
めちゃくちゃ重いPC使っている人のSEOについての漫画です。

漫画になっているので、他の書籍よりも圧倒的に読みやすいです。

SEOの技術的な話に加えて、ライティングの話に触れられているので、
「どうやってコンテンツを作れば良いか」と悩んでいるライターさんや、自分でコンテンツを作らなくては行けない担当者様にとっては入門書になると思います。

SEO初心者にオススメの4サイト】

活字アレルギーで、本よりもWebで読むほうが頭に入ってくるという方のために、
SEOについて基本的な情報がまとまっているサイトをおすすめいたします。

検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド

support.google.com
https://static.googleusercontent.com/media/www.google.com/ja//intl/ja/webmasters/docs/search-engine-optimization-starter-guide-ja.pdf
Google公式のドキュメントは、最も基礎であり応用でも有るので目を通しておきましょう。
最初は用語などわからないことも多いと思いますが、調べながら進めていけば基本的なところはさらえるはずです。

Web担当者Forum

webtan.impress.co.jp
SEO以外の情報も多く掲載されています。
連載記事や過去記事を3日位かけて辿れば、かなり知識は集まるかと思います。

基本的に執筆・寄稿している人は信頼できる方なので、疑わずに読んで良いと思います。

SEO HACKS

www.seohacks.net
そもそもSEOってなに?というのを解説しています。
上記記事以外にも、用語集や基礎知識などが豊富に載っています。
(若干古い記事や古い内容のものもあります)

※「10年使えるSEOの基本」の著者の方が在籍しているナイル様が運営しているオウンドメディアです。

少し長いですが、網羅的に情報が入っていることと、文体が堅すぎないので読みやすいです。

ferret [フェレット]

ferret-plus.com
サイトのデザインや、フォントなどが読みやすく初心者の方でもスラスラ読めるかと思います。

書いている方も有名な方が多いので、そういった記事は参考になります。
ただ、たまに古い内容も含まれているので、執筆者や執筆日は確認することを推奨いたします。
(どのメディアの記事でもそうですが)

【初級者~中級者】「SEOってリンクとコンテンツが大事なんでしょ?」という方へ

ある程度SEOを知ってくると、SEOにおいてやったほうが良いことと、やってはいけないことがわかってくるかと思います。

また、SEOの面白さを知って、色々とサイトで実験してみたりするフェーズの方に向けて、オススメの書籍とサイトをご紹介します。
※中級レベルの内容になると、書籍の情報だと遅くなってしまうため、おすすめする書籍は1つだけにしておきます。

SEO初級者~中級者にオススメの1冊】

SEOを強化する技術 エンジニアが内側から支えるサイト設計・構築術

https://www.amazon.co.jp/SEO%E3%82%92%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E6%8A%80%E8%A1%93-%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%81%8C%E5%86%85%E5%81%B4%E3%81%8B%E3%82%89%E6%94%AF%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E8%A8%AD%E8%A8%88%E3%83%BB%E6%A7%8B%E7%AF%89%E8%A1%93-%E5%AE%89%E5%B7%9D-%E6%B4%8B/dp/4844328093/ref=sr_1_25?ie=UTF8&qid=1522695743&sr=8-25&keywords=SEOwww.amazon.co.jp
こちらも少し古い書籍ですが、SEOを技術的な側面から語った書籍になります。

Googlebotの挙動の話や、HTMLの話などエンジニアの方にも読んでいただきたい1冊です。
ただ、2009年の本なので今では使わない話も入っているため、内容の取捨選択をしながら見ていくことをおすすめいたします。

SEO初級者~中級者にオススメの7サイト】

Google ウェブマスター向け公式ブログ

webmaster-ja.googleblog.com
検索エンジンに関する重要な発表があったときは更新される、Web担当者(ウェブマスター)向けのブログです。
大きなアルゴリズムの変更などの公式発表はこちらで確認できます。

定期的な確認は必要ないですが、更新されたら確実にチェックしましょう。

Web担当者Forum

webtan.impress.co.jp
初心者の方でもお勧めしましたが、中級くらいまでの記事も多く存在しています。
Mozの翻訳記事であったりは、中級者くらいまでは楽しめる記事になっているかと思います。

自分はSEOカテゴリの記事を上から見ていき、ぱっと読んで難しければはてブをしておいて、数か月後に読むなどして管理していました。

海外SEO情報ブログ

www.suzukikenichi.com
SEOに携わっていて読んでいない人はいるんですかね...?というくらい読んでいる、
MIERUCAでも有名な株式会社Faber Company(ファベル カンパニー)の役員でもある鈴木謙一様のブログです。
海外の情報を早く翻訳してくださるため、英語弱者の自分はとても重宝しております。

マニアックな内容から基礎的な内容まで掲載されているため、見返すだけでもとても勉強になります。

SEM R

www.sem-r.com
株式会社アイレップの渡辺 隆広様が執筆されているサイトです。
海外の情報やSEOだけでなくGoogleサービス関連の話も多いので、
Googleの関連サービスを含めた情報を知ることが出来ます。

SEO Japan

www.seojapan.com
アイオイクス株式会社様が運営しているブログになります。
海外の情報や技術的にマニアックな話も多く、読み物としても面白いです。

辻様のブログ

webweb.jp
SEOの神様といえば、この人を皆が思い浮かべるでしょう。
研究と実践から基づく話は、とても勉強になります。

恐らく、ブラックもホワイトもSEOを知り尽くしているがゆえの最強という印象です。
ツイッターの方が更新が活発なので、フォローしていない方は是非。
twitter.com

CyberAgent SEO Information(サイバーエージェントSEO情報ブログ)

ameblo.jp

サイバーエージェントの木村様が執筆されているブログになります。
海外のフォーラムでの情報や京大との実験の報告など、
他のサイトではあまり見られない情報を見ることが出来ます。

やはりこのレベルの研究を出来るのは大きい会社でないと難しいよなーと、
羨ましく思いながら拝見させていただいております。

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上記が初級~中級の方にお勧めのサイトとなっています。
それ以外にもアフィリエイターの方のブログであったり、Googleウェブマスターヘルプフォーラムの質問を眺めるなどしておけば、
面白い情報や自社での実験のネタを探したりすることはできるかと思います。
productforums.google.com

自社のサイト規模や業界では関係のない話も増えてくるので、「内容を咀嚼し、自社サイトでどう応用するか」を考えることが重要になってきます。
知識を蓄えつつ、「Aということなら、Bの場合は...」といったように、言葉や施策の意図・意味を把握することに努めましょう。

【中級者~上級者】「AMPやPWAも最速で導入したし、SEOを独自で分析をしている」といった方へ

このレベルになってくると、ペーペーの自分ではアドバイス出来る内容は正直ないのですが、どういったサイトに最新情報やレベルの高い情報が載っているかをご紹介いたします。

フロント・サーバーサイドのエンジニア的な知識も必要になってくるレベルなので、SEOだけ知っていれば何とかなるという情報は少なくなってきます。
また、趣味の領域に入ってくるラインでもあるため、サイトによっては全く考えなくていい知識も多く存在してくることを留意ください。

SEO中級者~上級者にオススメの3サイト】

Moz Blog

moz.com
もっとも高いレベルでSEOを行っている会社ではないでしょうか。(メイン事業はSEOツールの販売)
Rand FishkinがMozを抜けることも直近話題になりましたね。(2018年4月)

Web担当者Forumでも和訳記事が出ますが、すべての記事を見たい方はMoz公式の英語記事を読むのが良いです。
自分は英語弱者なのでほぼ読まないですが、そろそろ読んでいかないといけないなと思っています。

日本のGoogle検索ではまだ実装されていない話もあったりするので、
数か月・数年後の日本のGoogle検索に反映されることを見越して情報収集をしておくと、
競合を出し抜くことができるかもしれません。

Search Engine Land

searchengineland.com
Mozと並んで、海外SEO情報サイトとして信頼性があるサイトです。

海外でのSEOの流行りを理解する上で重宝しますが、いかんせん英語なので1記事読むだけで体力は持ってかれます。
専門的な用語も多いため、単純な翻訳だと意味不明な文章になってしまうので、
SEOを知っていて翻訳できて、めちゃくちゃブログにアップしてくれる人」が出てきてくれることを祈っています。。。

searchmetrics

blog.searchmetrics.com
こちらもSEOツールを販売している会社のブログになります。

基本海外でSEOツールを作っているところは、情報発信も熱心に行っています。
やはりデータを持っていることは強いですね。

過去の順位を遡ることは出来ないので、過去の順位データを保持し続けておけば、何かしら示唆を得るきっかけになるかと思います。(個人単位では限界が...)

              • -

海外サイトはたくさん数を知っているわけではないので、有名どころを紹介しましたが、
かなり質の高い情報は集まるのではないかと思います。

SEOは海外の方が進んでいる上にレベルも高いですので、学ぶことは多いなあと日々痛感しています。
外部のSEOコンサルタントとして、インハウスの方によい情報提供を行うことは必須なので、
こういった先進的な情報も取り入れていかないといけませんね...

また、ハイレベルなSEOになればなるほど、エンジニアリング、データ分析、統計などといった知識は不可欠になってくるため、
SEOだけ知っていれば理解できるという範疇を越えてきますので、Web/マーケ周りの広く深い知見を取り入れるように意識しましょう。

後は、SNSでの情報収集も重要になってくるので、高度な情報を発信している方を紹介しておきます。
Tomoyuki Sugao(菅尾智之) (@TomoyukiSugao) | Twitter
Rand Fishkin (@randfish) | Twitter
Avinash Kaushik (@avinash) | Twitter
Aleyda Solis (@aleyda) | Twitter
Dr. Pete Meyers (@dr_pete) | Twitter

こういったところから情報収集を行なっています。

2.どうやって施策のレベルを上げているか

情報収集だけを行なっていても、自社サイトにその知見を反映させないと、ただの趣味で終わってしまいます。
それらの情報を引き出しに持った上で、自社・競合・無関係なサイトが「なぜ上位表示されているのか」「なぜ10位以下なのか」と言ったところを、仮説ベースで考えることが施策のレベル向上に繋がると考えています。

もちろんSEOなので正解はわからないのですが、仮説を持つことでそれが実際に効果があるかを試すことが出来るようになります。
「なんとなく施策をしたら順位が上がった」を繰り返していると、場当たり的な対応になってしまい、
サイト内で展開していくことが難しくなってしまい、個別のページごとに施策を検討することになります。

個別検討がSEO上は理想なのですが、ビジネス目線で考えた場合は横展開することで効果を最大化するほうがビジネスインパクトは大きくなりますし、自社サイトで出来ることでなければ施策を考えついても意味がありません。

そこで、下記のようなプロセスで、日々悪戦苦闘しています。

1.狙うキーワードを決める

まずはどのキーワードで順位向上を狙うかを決める必要があります。
その際に、横展開が出来るキーワードを選ぶことが、ビジネスへのインパクトを考える上で重要です。

例えば、月間検索回数は全て同じと仮定した場合、「都道府県」に対する施策よりも、
「市区町村」に対する施策のほうがインパクトは大きくなります。

都道府県は47ページしか対応するページがありませんが、市区町村であれば数百ページに渡ります。

検索回数やCVへの近さによってインパクトは変わりますが、
基本的には同じ施策を横展開できるページが多いほうがインパクトは大きくなります。

2.狙うキーワードの検索結果の傾向を確認。

どういうドメイン、サイトタイプ、ページ構成が上がりやすいのかを把握します。
自社と全く異なるようなドメインやサイトが上がっている場合は、そもそもそのキーワードで上げることが不可能な場合もあるので、
戦うべきフィールドかどうかの判断をします。

3.1~10位と自社サイト(ページ)を目視・ツールを使い、データや工夫している点を洗い出し。

リンク、コンテンツ、ページスピード、配下のページ数、meta要素、フォントサイズ、直帰率、滞在時間などなど、
定量・定性どちらの情報も調査し、Excelなどに落とし込みます。(余裕があればいつかキャプチャなどで例を載せます...)

直帰率や滞在時間などのデータは、Similar Webなどの競合調査ツールを使えば、
正確ではないですが参考になるデータは取得できます。

4.自社が上位サイトに対して負けているポイントの中で、真似できるポイントを確認。

調査した項目の中には、自分たちでコントロール出来ない要素も多く存在しています。
外部リンクの数や質は短期的に強化することは難しいですし、予算や人的リソースの問題でコンテンツを作れない、サイトの改修が出来ないといった社内的な制限もあるかと思います。

そこで、自分たちの出来る範囲かつ上位サイトより劣っているポイントを確認します。

5.改修するポイントを決めたら、自社サイトの対象ページで施策を行う。

後は、個別具体的に施策を実際のサイトに落とし込みます。

例えば、コンテンツの量が不足しているのであれば加筆を行いますし、上位ページのtitleに共通して含まれているキーワードがあれば、自社ページのtitileに含める、ページスピードが劣っているのであればサーバーを補強する...などなど、出来ることをやっていきます。

横展開が数百ページに及ぶ場合は、20~50ページくらいを改修し、効果検証を行なった上で全体に展開していくことをおすすめいたします。

6.効果検証を行い、施策の意図・効果・考察をストックしておく

施策は、打率3割だせれば良い方です。
外れる方が普通なので、効果が出なくても落ち込む必要はありません。

それよりも、「どういう意図」で「どのような施策」を行い、「どういう結果」だったのかを記録・集積していくことが重要になります。

検索エンジンアルゴリズムが変更され、以前は効果がなかった施策が評価され始めたりすることも可能性としては0ではありません。
そういった場合に、自分の記憶だけでは限界があるので、記録して置くことが後々役に立ちます。

調査した内容も併せて保存しておけば、他のサイトを担当することになった場合や、転職した際も最強のナレッジになります。

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上記のようなプロセスと、キーワード/ページごとに検討していくと、仮説の精度も上がっていきます。
Googleアルゴリズムブラックボックスである以上は、どれだけの「数」と「質」の仮説を出して検証できるかが、
SEOのレベルを高めていく上で重要になるかと思います。